CD『太陽の使者・鉄人28号 オリジナル・サウンドトラック』
●テイチク - 2002/5/22発売
・解説
【ライナーノート解説より】
クロニクルTVエンタテインメント・シリーズのオリジナル・サウンドトラック・アルバム復刻第二弾は、横山光輝・原作のTVアニメ『鉄人28号』。
今年で生誕45周年を迎える "鉄人" だが、40代以上の人にとっては、かつて『鉄腕アトム』と人気を二分した63年の初アニメ版を連想すると思うが、本作は80年10月3日から81年9月25日まで日本テレビ系で放映されたリニューアル版だ。
当時、テイチクのコンチネンタル・レーベルより『太陽の使者 鉄人28号』(80年)、『無敵の鉄人28号』(81年)という2作のサウンドトラックLPがリリースされているが、今回はその2作品を1枚のCDに完全収録しての復刻である。
LP『鉄人28号』の歌と演奏、そして数曲の編曲者として "ギミック" という聞き慣れないアーティスト名が表記されているが、なんとその実体は、清水靖晃、笹路正徳、土方隆行などを擁し、多才な音楽技能集団として80年代に大活躍するマライアと、彼らの所属する音楽プロダクション『ビーイング』が抱えるアーティスト、作家たちによって編成された、まさに "ビーイング・オールスターズ" とも呼べる豪華な顔ぶれだった。
当時はレコード会社との契約の都合で、マライアや一部のアーティスト名を表記することはできなかったものの、ざっと紹介すると、「太陽の使者 鉄人28号」をはじめとした主題歌・挿入歌を唱っている他、「無敵の鉄人28号」の作曲も手がけているのは、のちにKUWATA BAND(86年)にギタリスト / ヴォーカリストとして参加、現在は桑名正博率いるXXXで活躍中の河内淳一(現:河内淳貴)。
「おちゃめなマッキー」のスキャットや、挿入歌「おヒゲの警部」等の女性ヴォーカルはビーイングの女性アーティスト第一号としてデビューしたばかりの村田有美である。収録曲の作家陣には、マライアのメンバーの他、亜蘭知子、入江純、中島正雄といったビーイングのスタッフ・ライターたち。
さらにはビーイングの総帥・長戸大幸も自ら<奈月大門>のペンネームで作詞を手がけている。そして、エンジニアリングを担当しているのは、今や世界の<セイゲン・オノ>として活躍する小野誠彦。
なんとも眼も眩むほどの強力な才能の集結によって制作されたサウンドトラックだったわけだが、当時、天下のビーイングもまだスタートしたてのプロダクションで、B'z、ZARD、倉木麻衣などのミリオンセラー・アーティストを続出するのはまだ先のこと。前出のアーティストたちもブレイク直前の新鋭だったのである。
ビーイングがマライアを核として確立した音楽制作システムは、かつてGSが専属作家制度を崩壊させたように、旧来のレコード会社の制作体制を解体し、現在主流となっている外部プロデューサー主導システムの土壌を作り出していく。
その記念すべき "一里塚" とも言えるのが『鉄人28号』のサウンドトラックであり、<J-POPの時代>を予見した隠れた名作なのである 。
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